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雑談しようよ

「インディペンデントウーマンだって結婚するよ」

ショックなことがあった。

 

ここ4年くらいお世話になっていた女性の美容師さんがいた。彼女は私より2、3個年上で、自然や田舎の原風景をこよなく愛し、環境問題やフードロスなどに高い関心を持って情報発信もするような人だった。時折政治についてもインスタのストーリーで意見を表明するほど、意識の高い人。

もちろん美容師さんなのでファッションへの関心も高く、おしゃれで意志が強く聡明な彼女は私の中の身近なロールモデルの1人だった。

 

その彼女から先日結婚、妊娠報告が来た。

彼女にパートナーがいて同棲していることは知っていたし、環境問題への強い関心と恋愛・結婚は全く関係がない。環境に配慮しながら夫婦生活は当然送れる。それでも、全く関係がないとわかっていても、自然を愛して1人森に住まう彼女のイメージを裏切られたようでショックだった。

そこに追い討ちをかけたのが、「落ち着いたら、子供を背負いながらお店に立つかも」というような内容を書いていたこと。私は彼女の高い技術力が好きだったし、それを求めて4年間通っていたけど、職場に子育てを持ち込んだら流石にクオリティは落ちない? ハサミやカラー剤を扱う場所で背中に赤ちゃんいるの、危険だしやりづらくない? バリカンの音で赤ちゃん泣き出しちゃって地獄の店内にならない? あやすのに時間かかって、後ろのお客さんもお待たせしちゃってってことにならない? 次々と浮かび上がる大小様々な不安。

あるいは、夫婦で同じ仕事をしていて、どんなに妻が仕事好きでも、結局子育てを担当するのは妻であるあなたなんですね、というショック(もちろん、おふたりの決めたことなので他人の私が口出しすることじゃないのは重々承知しております)。

 

また、ショックを受けた自分自身にもショックを受けている。

性役割に縛られない強い女性のロールモデルでいてほしいという願望で、私が彼女を縛っていた。その縄を振り解かれたので動揺している。

絵画「民衆を率いる自由の女神」に描かれている女性が、急に掲げた旗を降ろしたので、烏合の衆の一部である私は目指すべき道を見失い、動揺している。彼女はそもそもジャンヌダルクじゃない、ただの美容師さんで、民衆を率いる旗なんか掲げていなかったのに。

 

「インディペンデントウーマンだって結婚するよ」

友達に言われ、そうなんだけど…といつまでもウジウジと衝撃から抜け出せない。晩婚化や結婚しない女性が増えたとはいえ、結婚して子供を産む道がアスファルトで綺麗に舗装された道なら、そうでない道はまだ背の高い雑草くらいは生い茂っている。誰かが先に踏み慣らしておいてくれればいいのにというのが甘ったれの私の本音である。

 

ロールモデルが欲しいというのが最近の私のふんわりとした悩みだ。

普通に結婚して子供を産んで母親になる以外の、別の道を明るく照らしてくれる女性。結婚していなくても決して孤独でなく、社会でバリバリ活躍していても男社会に染まらず、女性が女性のまま好きに生きていいことを証明してくれる人。

 

もう私が自ら旗を取って次世代の女の子たちを率いるしかないのか?

 

ロールモデル探しの旅は続く。