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雑談しようよ

生活を人質にされている

2022年から始まった値上げラッシュ。はじめこそ、「うわ」と新鮮な驚きをもってプライベートブランドに逃げていたが、今ではもう当たり前のようにそれを受け入れるしかなくなった。全ての商品が値上げしていて、「値上げしたものを避ける」という手段を取れなくなったから。

ただ、日々のちょっとした娯楽、ちょっとした楽しみ、仕事帰りのアイスなんかを我慢して、少しずつ擦り切れるしかなくなった。

 

ああ、このままものの値段は上がり続けて、消費税は減らなくて、生活の補助とかも特になくて、政治はいつまでもクソで。

こんな生活がずっと続いていくんだ。

スーパーマーケットの食品売り場でそう思い立った時、足元の床が突然開いて、奈落の底に落とされるような気持ちになった。ヒュッと身体を垂直に突き抜ける恐怖。

 

 

私は今、うつ病を理由に週2日のバイトしか行っていない。そのバイト代と失業手当で生活している状態だ。しかしその失業手当も春には切れてしまう。

このバイトを増やせば済む問題なのだけど、そう簡単にはいかない。人間関係が最悪なのだ。ここにいるとうつ病が悪化してしまうため、週2日に抑えている。家計のために仕事を増やせば健康を損い、健康を優先すれば家計が成り立たない、最悪のバイト先だ。

 

うつ病なら障害者枠で正社員になろうか、という思いもある。しかし、私はすでに2回正社員で失敗している。会社という集団が向いてない。たくさんの人間が集まって、その中に複雑な人間関係があって、会社の方針やカルチャーがあって、自分の思い通りにできることなんかない。自分の人生なのに、1日8時間を週5日も他人の思想に則って動かないといけないなんて、頭がおかしくなる。

そもそも、今1日8時間を週5日働ける自信がない。人と関わっていく自信がない。頭がボケている。そんな私を誰が雇いたいというのだろうか。

 

じゃあ、在宅でできるバイトや内職なんかどうだろう。あれなら人と関わらずにできそうだし、自分のペースでできる。なんなら週2のバイトの合間をぬって、今からでもできそうだ。いや、でもそんな頭を使わないバイトに手を出してしまったら、もう一生そこから抜け出せなくなる。まだ20代だぞ。この先長い人生で、もうデータ入力に手を出してしまっていいのか。もう一生、家の中に閉じこもって、誰とも話をすることなく、朽ち果てていくしかないのか。

 

いやいや、私は前から占い師になりたかったんじゃないか。メール占いなら家でもできるし、人の話を聞いて解決してあげられればそれなりにやりがいもあるだろう。そのための勉強を最優先にするべきなんじゃないか。

でもそれで本当に食っていけるのか。本当に占い師になれるのか。勉強にかけたお金はちゃんと取り返せるのか。どんなに嫌ってたって、結局会社という団体に守ってもらわないと食べていけないくらい脆弱な人間のくせに。自己実現なんか偉そうなこと、お前にできるわけないよ。

 

 

そもそも、「会社に入ったからには長く勤めなければならない」「若いうちから楽なバイトに手を出しちゃいけない」なんて誰が言い出したんだろう。私の中のただの妄想か。あるいは社会の風潮か。

 

その社会の風潮を作っているのは、今、たいした景気対策もなく、防衛費だけ増やして、血税を好き勝手使っている政府なんじゃないか。インボイス制度を導入して個人事業主を締め殺し、会社員こそ正義の風潮を作っている、年金支給年齢を引き上げて、いつまでも働かせようとしてくる、彼らなんじゃないか。

 

会社のカルチャーが合わなければ逃げればいいし、健康を損なってまできつい仕事に手を出すことなんかない。働かざるもの食うべからずなんて言葉があるけど、働けないんだから国が保障してよ。そのための国でしょ。

 

「会社員こそ正義」「異性婚こそ正義」の政府のもと、私たちは本当にやりたいことを犠牲にして、ただ国が敷いたレールの上を走らされる。大学を出たら企業に就職して、30を手前に結婚して、2人以上の子供をもうけ、働きながら子を育て、子が巣立ってもまだ働き、やっと解放されたと思う頃にはきっと趣味につぎ込むだけの気力も体力も残ってない。

 

こんな人生のどこに楽しみを見出したらいいのか。

 

食品売り場の商品達が、次々に話しかけてくる。私は立ち尽くす。

結局私は今目の前の食品を買うために、今日の夕飯を作るために、この値上げした食品達を買うしかない。そしてそのお金を稼ぐために、自己実現よりも先に、会社やバイト先に自分の人生を捧げるしかない。目の前の生活を人質にされ、人生を犠牲にしている。

 

未来が今の積み重ねだというのなら、この擦り切れる気持ちが積み重なった先にどんな未来があるんだろう。

私はこのまま何も実らせないまま死んでいくしかないんだろうか。